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社内DX 2026.08.18公開 · 13分で読める

Google Workspaceの料金・プランの選び方|Standardを選ぶ基準

料金表を見て予算を組みました。そして、足りませんでした。 追加で必要になったのは3つ。カレンダー用の別製品、移行にかかった工数、そしてOfficeとの二重払いです。いずれも公式の料金表には載っていません。

Google Workspaceの料金・プランの選び方|Standardを選ぶ基準

目次全11章
  1. プラン構成と料金(2026年時点)
  2. プランを分ける決定的な差は、共有ドライブ
  3. 当社がStandardを選んだ理由
  4. 年間契約か、フレキシブルか
  5. 他のグループウェアと比べたとき、ストレージ単価が決定的に違う
  6. 料金表に出てこない3つのコスト
  7. 逆に、下がるコスト
  8. 無料で使えるのか
  9. プランの選び方|3つの質問
  10. まとめ
  11. よくある質問

料金表を見て予算を組みました。そして、足りませんでした。

追加で必要になったのは3つ。カレンダー用の別製品、移行にかかった工数、そしてOfficeとの二重払いです。いずれも公式の料金表には載っていません。

この記事で書きたいのは、その表を見ても判断できない部分です。どのプランを選ぶべきかの判断基準、料金表に出てこないコスト、そして逆に下がるコスト。

当社は約50人(導入時は35アカウント)の建築・内装会社で、社内ファイルサーバーの廃止にあわせてGoogle Workspaceを導入しました。Business Standardを選んでいます。その判断過程を書きます。

書き手は総務部長とIT部長を兼任しています。前職はシステムエンジニアを約15年。情シスの専任担当はいません。

プラン構成と料金(2026年時点)

まず前提の整理です。中小企業向けのBusinessプランは3種類あります。

Google Workspace 3つのプランの図解
プラン 年間契約(月額・税抜) ストレージ 特徴
Business Starter 800円 1ユーザー30GB 最小構成
Business Standard 1,600円 1ユーザー2TB 共有ドライブあり
Business Plus 2,500円 1ユーザー5TB 高度なセキュリティ

この価格は2025年3月17日の改定後のものです。 料金は変更されるため、契約前に必ず公式サイトで最新の金額を確認してください。

補足を3点。

ストレージはプール制です。 「1ユーザーあたり2TB」と表記されますが、これは組織全体で共有される容量として提供されます。全員が2TBずつ独立して使うわけではありません。

Businessプランは最大300ユーザーまでです。 これを超える場合はEnterpriseプランになります。50人規模なら問題になりません。

支払い方法で単価が変わります。 年間契約と、いつでも解約できるフレキシブル(月額)があり、後者は2割前後高くなります。

プランを分ける決定的な差は、共有ドライブ

料金表には多くの項目が並びますが、中小企業の判断で本当に効くのは1点だけです。

Business Starterには共有ドライブがありません。

共有ドライブがないと何が起きるか

共有ドライブがない場合、ファイルの所有者は個人アカウントに紐づきます。

つまり、営業部の見積書も、総務の規程類も、それを作った人のアカウントが所有者になる。表面上は共有されているので、普段は問題なく使えます。

問題が出るのは、その人が退職したときです。

アカウントを削除すると、その人が所有していたファイルも消えます。削除前に所有権を他の人へ移す作業が必要になり、移し忘れたファイルは失われます。 数年運用すれば、誰が何を所有しているかは把握できなくなります。

ファイルサーバーの代替を目的とするなら、Starterは候補になりません。 ここは価格差の問題ではなく、要件を満たすかどうかの問題です。

その他の差

共有ドライブ以外では、次の点が実務に効きます。

Starter Standard
共有ドライブ なし あり
ストレージ 30GB 2TB
Meetの録画 なし あり

30GBという数字は、メールと日常のファイルだけならしばらく足ります。ただし会議の録画を残す運用を始めた瞬間に足りなくなります。

当社がStandardを選んだ理由

導入の目的が、社内ファイルサーバーの廃止だったためです。

5年リースの更改時期を迎え、UTMだけで100万円前後という見積もりが出ていました。ローカルにサーバーを置き続けるか、クラウドに移すかを検討した結果、後者を選んでいます。

この目的である以上、共有ドライブは必須でした。 部門のデータを個人アカウントに紐づけるわけにはいきません。

結果として、選択肢はStandard以上に絞られました。Plusまで上げなかったのは、当社の規模と業種では、Vaultによる電子証拠保全やDLPといった機能を必要としていないからです。

迷ったら、Standardを基準に「下げられるか」「上げる必要があるか」を考えるのが実務的だと思います。

年間契約か、フレキシブルか

見落とされやすい選択です。

年間契約は単価が安くなる代わりに、契約期間中の人数減やプラン変更に制約があります。 フレキシブルは2割前後高くなりますが、いつでも解約・減員できます。

判断材料は、今後1年の人員が読めるかどうかです。

当社は年間契約を選びました。50人規模で、年間の増減が数人の範囲に収まる見込みだったためです。採用を大きく増やす予定がある会社や、季節変動が大きい会社は、フレキシブルのほうが結果的に安く済むこともあります。

なお、途中でユーザーを追加・削除した場合は日割りで計算されます。

他のグループウェアと比べたとき、ストレージ単価が決定的に違う

料金比較でほとんど語られませんが、中小企業にとって最も効く差だと考えています。

ストレージ単価の比較の図解

当社は過去に何度か、国産のグループウェアSaaSの導入を検討し、そのたびに見送ってきました。理由は機能ではなく、ストレージの料金体系でした。

「ユーザー数 × 数GB」という設計

国産グループウェアの多くは、ディスク容量を「契約ユーザー数 × 数GB」で提供し、超える分は追加課金という体系を取っています。

たとえばサイボウズのcybozu.com系サービス(kintone、Garoonなど)では、標準のディスク容量が契約ユーザー数 × 5GBと定められています。増設する場合は、10GBあたり月額1,000円の加算です。

これを50人の会社で計算してみます。

容量 月額(ストレージ分)
標準 250GB 追加なし
2TBまで増設 2,000GB 約175,000円

年間で約210万円。 ストレージだけで、です。

Google Workspaceの場合

Business Standardは1ユーザーあたり1,600円(年間契約・税抜)で、2TBのストレージプールが含まれます。

50人なら月額80,000円。この中に2TBが入っています。

ストレージの単価で見ると、20倍以上の差があります。

数字の大小ではなく、設計思想の違い

国産グループウェアは、スケジュールや掲示板、ワークフローといった「業務データ」を扱う前提で作られています。ファイルサーバーの中身をまるごと置く想定ではありません。だから容量が数GB単位で設計され、追加が高額になります。

一方、Google WorkspaceはDriveというストレージを軸にした設計です。ファイルを大量に置くことが前提になっています。

社内ファイルサーバーの代替を考えている会社にとって、この差は決定的です。 当社が国産グループウェアを何度も見送ったのは、この点で要件を満たせなかったからでした。

結果として「買う」から「作る」に振れた

グループウェアとしての完成度でいえば、国産製品のほうが日本の商習慣に合っています。稟議のワークフロー、掲示板、スケジュールの一覧性。そのまま使えるという価値は確実にあります。

それでも選ばなかったのは、2TBを載せられなかったからです。

結果として、Google Workspaceを基盤にして、足りない機能は自分で作るという方針になりました。カレンダーだけは既製品(rakumo)を買い、ワークフローと社内ポータルはGoogle Apps Scriptで実装しています。

「グループウェアを買う」のではなく、「基盤を買って、上に載せるものは作る」という判断です。 ただしこれは、社内にプログラムを書ける人がいる場合に限られます。

なお、当初はNotionも候補に挙げていました。情報の集約先としては魅力的でしたが、ファイルサーバーの代替という要件では同じ壁に当たります。

料金表に出てこない3つのコスト

ここからが本題です。公式の料金表を見て予算を組むと、確実に不足します。

料金表に出てこない3つのコストの図解

当社の場合、次の3つが上乗せされました。

1. 追加製品の費用

Google Workspaceだけで全部が揃うとは限りません。

当社はGoogleカレンダーの組織向け機能が不足していたため、rakumoカレンダーという別製品を追加で購入しています。 Google Workspaceの月額に、さらにユーザー単位の費用が乗る形です。

Googleカレンダーは個人の予定管理として設計されており、部署メンバーの予定を横並びで見る、会議室の空き状況を一覧で確認するといった使い方には向いていません。日本のグループウェア的な運用を求めるなら、追加製品が必要になる可能性があります。

予算を組む段階で、この可能性を織り込んでください。

2. 移行の工数

導入作業そのものにかかる人件費です。

当社の実績は、35アカウントで合計約1人月でした。フェーズごとの内訳は、ファイルサーバー移行の記録にまとめています。

この数字は、DNSやメール認証の知識がある前提の工数です。 経験がない場合は、代理店やベンダーへの委託費用を見込んでください。

そして、ファイルサーバーからのデータ移行は別枠です。当社は2TBを、業務を止めずに約6ヶ月かけて移しました。

3. 既存ライセンスとの二重払い期間

これが最も見落とされます。

当社はMicrosoft Officeを継続しています。ExcelとWordは業務に深く入り込んでおり、スプレッドシートへの置き換えには社内の抵抗がありました。

そこで、置き換えませんでした。 Google Workspaceの導入とOfficeの廃止は別の話です。メールと認証基盤とファイル置き場だけを移し、Officeのライセンスは残しています。

つまり、現時点では両方に払っています。 将来的にスプレッドシートへ寄せてOfficeライセンスを削減する方針はありますが、それが実現するまでの期間は二重払いです。

導入を検討している会社が「Officeを捨てなければならない」と考えて止まっているなら、その前提は不要です。ただし、併用期間のコストは計算に入れてください。

逆に、下がるコスト

ここが、この記事で最も伝えたい部分です。

Google Workspaceに移しただけでは、当社のコストはほとんど下がりませんでした。 ファイルサーバーとUTMの更改費用がなくなった分と、Google Workspaceの月額が、おおむね相殺される水準でした。

実際にコストが動いたのは、別のところです。

重複していたSaaSを解約した

Google Workspaceを導入したことで、それまで個別に契約していたサービスが重複していることに気づきました。

当社では、LINE WORKSとZoomをどちらも完全に解約しました。 チャットはGoogle Chatに、Web会議はGoogle Meetに寄せています。

つまり、こういうことです。

Google Workspaceの費用対効果は、単体では出ない。契約中のSaaSの棚卸しとセットで初めて出る。

見積もりの前にやるべきこと

導入を検討している方は、料金プランを比較する前に、いま契約しているSaaSを全部並べてください。

チャット、Web会議、ファイル共有、アンケートフォーム、簡易的な業務アプリ、スケジュール調整ツール。中小企業では、これらを別々に契約しているケースが多いはずです。

そこが乗るかどうかで、判断はまったく変わります。

ただし注意点があります。当社はMeetで完全に置き換えられましたが、参加者が数百人規模のウェビナー、細かい参加者管理が必要なイベント、視聴ログの取得が要件になっている外部研修などを日常的に持っている会社では、既存ツールを残す判断になることもあります。

「うちも全部解約できる」と決めてから確認するのではなく、確認してから決めてください。

無料で使えるのか

「Google Workspace 無料版」で検索される方が多いので、整理しておきます。

法人が独自ドメインで運用する場合、無料のプランはありません。 有料契約が前提です。

個人向けのGmailは無料で使えますが、これは `@gmail.com` のアドレスです。自社ドメインのメールアドレスを運用したい、共有ドライブを使いたい、管理者が全体を管理したいといった要件がある時点で、有料プランが必要になります。

無料試用期間は用意されているため、契約前に管理コンソールを触っておくことは可能です。 導入作業の重さを事前に把握する意味でも、試用は有効です。

プランの選び方|3つの質問

判断を単純化すると、次の3つで決まります。

プランの選び方|3つの質問の図解

1. ファイルサーバーの代替として使うか。

使うなら、共有ドライブが必要です。Standard以上が必須になります。

  1. 会議の録画を残す運用をするか。

残すなら、Starterの30GBでは足りません。Standard以上が現実的です。

  1. 電子証拠保全やDLPが必要な業種か。

士業、医療、金融など、法的な保存義務や厳しいセキュリティ要件がある場合はPlusを検討します。50人規模の一般的な事業会社では、Standardで足りることが多いはずです。

迷ったらStandardを起点に、下げられるかどうかを検討してください。

まとめ

  • ストレージ単価は、国産グループウェアと20倍以上の差が出ることがある。 ファイルサーバー代替が目的なら、ここが選定を決める
  • 料金表の単価だけで予算を組むと不足する。追加製品・移行工数・既存ライセンスとの二重払いを織り込む
  • 共有ドライブの有無が、実務上の最大の分岐点。ファイルサーバー代替ならStarterは対象外
  • クラウド化だけではコストは下がらない。下がるのはSaaSの棚卸しをしたとき
  • 年間契約かフレキシブルかは、今後1年の人員が読めるかで決める
  • Officeは捨てなくてよい。ただし併用期間のコストは計算する

よくある質問

Business Starterでは駄目ですか

ファイルサーバーの代替が目的なら対象外です。共有ドライブがないため、ファイルの所有者が個人アカウントに紐づき、退職時に所有権の移管が必要になります。メールの利用が中心で、ファイル共有の要件が軽い会社であれば選択肢になります。

Business Plusまで上げる必要はありますか

士業・医療・金融など、法的な保存義務や厳しいセキュリティ要件がある業種では検討する価値があります。50人規模の一般的な事業会社では、Standardで足りることが多いはずです。迷ったらStandardを起点に、下げられるかを検討してください。

年間契約とフレキシブル、どちらを選ぶべきですか

今後1年の人員が読めるなら年間契約です。単価が2割前後安くなります。採用を大きく増やす予定がある、季節変動が大きいといった場合は、いつでも減員できるフレキシブルのほうが結果的に安く済むこともあります。

販売代理店を経由すると安くなりますか

条件が変わる場合があります。具体的な差は契約によって異なるため一般化できませんが、サブスクリプションは人数×月数で積み上がります。契約前に複数の窓口から見積もりを取ってください。数日で済む作業です。

Microsoft 365と併用できますか

できます。当社はOfficeのライセンスを継続したまま、メールと認証基盤とファイル置き場をGoogle Workspaceに移しています。「Officeを捨てなければならない」という前提は不要です。ただし併用期間のコストは計算に入れてください。

途中でプランを変更できますか

変更自体は可能ですが、年間契約の場合は契約期間中の変更に制約があります。初期のプラン選定が重要になるのはこのためです。

無料で使う方法はありますか

法人が独自ドメインで運用する場合、無料のプランはありません。無料試用期間は用意されているため、契約前に管理コンソールを触っておくことは可能です。

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